2018年1月14日日曜日

新版ドラフト戦国大名のノンオブラートレビューを公開!

以前にもレビューをいただいたBoard game every day 様に、新版ドラフト戦国大名のノンオブラートレビューを頂きました。
ノンオブラートレビューとは、試作・製品版のボードゲームを送り、実際にプレイした感想をいただけるというものです。
http://bged.info/nonobrato-reviews

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BGED管理人 ノンオブラートレビュー

ルールライティングとコンポーネント

ルールブック、コンポーネント含めて非常に遊びやすいものとなっていると思います。カード類も区別がつき、スムーズに遊ぶことができました。何点か気になった部分を指摘させていただきます。

それぞれのプレイヤーがどこから始まるのか、ルールブックでのみ指定されているので探すのに少し手間取りました。戦国時の地図などに親しんでいるのならすぐに見つけられるとは思いますが、不勉強な自分にはどこに配置すればいいのか混乱しました。マップ、プレイヤーマットに本国・場所を明記すると良いと感じました。

攻撃修正値、防御修正値は基本的にそれぞれのプレイヤーに武将、設備として固定値化されますので、ボードなどにそれぞれのトラックがあると、対戦相手がどれくらいの戦力を有しているのか判断し易いと感じました。

いくつかのカード効果が、地域1つを指定するのか、対象地域全てを指定するのかが曖昧なものがありました。

感想詳細


ウォーゲームのプレイ感を、ドラフトやカード効果にゲームルールを集約できているのが非常に印象的です。例外処理や枝葉が少なく、シンプルなゲームに組み上げていることができていると思います。

実際、基本的なルールは簡単ながら、ゲーム展開が読めず、やり応えのあるゲームとなっていました。

一緒に遊んだ人も、全体的にカードを選び、出すだけなので迷うこともなく遊べていると感じました。

各ラウンドで出されるイベントによっても様々な展開が出ますし、繰り返し楽しめるものになっていると思います。

基本的にプレイアビリティ、ルールライティングの変更により、ぐっと遊びやすいものになっています。

それとは別に、前回から今回までで、私自身様々なゲームを遊んだことにより、前回気づかなかった点をいくつか指摘させていただこうかと思います。本作は既に完成された作品であり、このままでも十分に高いクオリティの作品に仕上がっていると思います。あくまで参考程度に受け取っていただけたらなと思います。

まず、4人プレイでのゲームですが、中央の土地のプレイヤーが非常に不利かなと感じました。特に、それぞれのプレイヤーが拡大を繰り返す12ラウンド目で出遅れやすく、後の展開にも響きやすいかなと思いました。本作では土地の数が収入に響くため、ここでつまずくと少々つらいかなと。

これは、4人という人数も問題であるように感じました。どうしても真ん中で、他よりも接地面積が多いので、対処が難しい印象が受けます。3人だと、それぞれがそれぞれにインタラクションがあるため問題ないのですが、4人だとこのバランス取りが非常に難しく思えます。

本作は4ラウンドありますが、4ラウンド目が蛇足に感じました。3ラウンド目までは小競り合いがあるのですが、その一方で武将、設備の構築が完了し、4ラウンド目は攻めるのにリスクが高すぎる状況になりがちでした。

手数の関係で、3ラウンド目までは防御の薄いところがあり、そこを攻める、ということができるのですが、4ラウンド目でそこに手が回ってしまうイメージです。構築ができてしまうと、本作は防御側が圧倒的に有利ですので、4ラウンド目は無くても問題ないのかなと感じました。

カード、イベントがゲーム展開に対応できていないようにも感じました。というのも、ラウンドが進むにつれて、ゲーム内の環境は変わってきます。最初はなにもない状況から、土地が増え、合戦が発生していく、というように。これを仮に時代と称します。しかし、そういった時代の変化があっても、カードセットは変わらないため、最終局面に至り、カードセットがゲーム開始時と変わらないため、それぞれのカードがゲームに影響を及ぼしづらいというのがあるように思えました。

例えば他のゲーム、世界の七不思議、スルージエイジス、ブラッドレイジなどでは、まさに時代ごとにカードセットを変え、カードセットがどんどん強力になっていく、または、その系統が変化していくという処置が取られています。

世界の七不思議を例に取ると、最初の時代は基本的な一次産業の施設を建設するカードが割り当てられ、次の時代には二次産業や宗教施設、最後の時代では最終的な特殊配点カードや高得点高コスト建造物施設。といった具合です。

イベントもそうで、ゲームで利用されるカードが全体の半分を超える程度で、使われないカードがいくつかあります。これではゲームごとに展開に変化が「出過ぎる」ように感じられました。

総じて、ルールがゲーム展開をコントロール仕切れない印象を受けました。これはプレイヤーがゲームを作れるという点では良いのですが、提供できるゲームの「楽しさ」にはばらつきが出るという事でもあります。これによって、先述した4人プレイでの不利や4ラウンド目の蛇足感が生まれているようにも感じられました。

戦略ゲームとして、シンプルに、かつ満足度の高い作品だけに、そういった点が気になってしまいました。次回作も期待しております。今後の作品作りに活かせてもらえたらと思います。サービスのご利用、ありがとうございました。

サイコロ堂店主 ノンオブラートレビュー 

                                       コンポーネント評価      


まず、前回のバージョンと比べて、格段に可読性、視認性に優れたコンポーネントに仕上がっていると感じました。
各カードは種類ごとに裏面の色が違うため、セットアップ時に苦労せずカードを分けられます。欲を言えば、各カードの表面の背景のテイストも変えたほうが、さらに視認性がよくなったかと思います。(実際に遊んだ際に、マップ脇に置いてある功績カードと自分のプレイしているカードの区別が付きづらく、混乱することが少しありました。)

マニュアルの可読性は数段上がったかと思います。用語の整理もされていて、我々以外のテストプレイヤーが読んだ際も、楽に読めたとの感想が出ておりました。
ボードもデザイン性が上がり、見やすさが増した印象です。ラウンドを示すアイコンにドラフト方向が描かれているのはとても親切だと感じました。
あえて改良点を指摘するとすれば、中央のボードにラウンドの処理が書かれている方が、全員が参照しやすくてよいかな、と思いました。
(個人ボードに詳細がかかれているので好みではあると思いますが)「各個人で参照してね」という個人ボードに書く方法より、「全員で一斉に処理することは全員が見るボードに描く」という方式のほうが、処理時に飛ばしてしまうことや、間違いが減るのではという意見です。初めて遊ぶ際にはルールを読んだ人がラウンド管理を担当することが多いですが、その人が2ラウンド目のイベントフェイズを飛ばしたまま次のフェイズに入りプレイ、途中で気がつくも巻き戻しが困難になったケースがありました。合戦のラウンド表記のように、(文字ではなくても)メインボードにアイコンデザインなどで書かれていれば、誰かが気がつく可能性が高いと思います。

プレイしての評価


行軍や徴兵などがアイコン化されたことにより、遊びやすさが格段にましています。見かけ上は小さな変化なのですが、この工夫がなされたことで、格段に遊びやすさが増しました。ここからさらに工夫するとすれば、カードの種別によってレイアウトを変更すると、さらに遊びやすくなるかと思われます。具体的には、現状だとドラフト用カード、功績カード、戦術カードなどが全て統一されたレイアウトのため、パッと見た時の視認性は低い状態です。これを、背景の色を変更する、カードタイトルの部分の帯デザイン(本作だと白抜きの帯)を変更する、右上のアイコンを角丸の■以外のものにするなど、です。

また、遊んでみて気がついたことではあるのですが、カードテキストが簡略化されているせいで、前バージョンでははっきりしていた効果が、わかり辛くなってしまったカードがいくつかありました。
例えば「敵方勢力の調略」ですが、前バージョンだと「自領地に隣接する城の存在しない領地1つに対して〜」となっており、どこか1つの領地を対象にするのが明確でしたが、最新バージョンのテキストは「自領地に隣接した城の存在しない領地に対して〜」に変更されています。結果、該当する領地全てを対象にしてもよいのでは、という誤読が発生してしまいました。簡潔にかかれていることは、可読性やプレイアビリティをあげるために重要な要素ですが、この部分は変更しないほうが良かったかもしれません。同様のカードが数種類ありました。
さらに武将カードの『本願寺顕如』の登場効果テキストで「1つの領地にいる〜」と指定しているだけに、混乱度合いが増してしまう結果になりました。「領地すべて」「領地1つ」など、対象を指定する言い方を統一するのが、一番確実な方法かと思います。よくある言い方だと
「『任意の●●1つ』(=好きな●●を1つ選んで)に対して▲▲『できるorしてもよい』(するかしないかはプレイヤーの意思)」や「『●●全て』に対して▲▲しなければ『ならないorする』(拒否することはできない)」があります。カードテキストの文法を統一することで、よりわかりやすく、すぐに効果を把握できるテキストにすることが可能になります。

テストプレイヤーの評価・雑感


ゲーム本体の面白さは前回のレビューで既に述べているので、今回は違う部分についての言及でした。したがって今回は遊んでいて気になった部分の記述が多く感じたかもしれません、しかし、プレイ感や見やすさは、前バージョンとくらべて飛躍的に向上しています。

次回作や、もしあれば版を重ねるときなどは、参考にして頂けると幸いです。

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